労働者派遣事業報告書とは?作成方法やポイント、令和6年からの変更点も解説

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労働者派遣事業報告書とは、厚生労働省から派遣事業の認可を取得している企業が、毎年6月に提出するよう義務づけられている事業報告書のことです。
 
本記事では、労働者派遣事業報告書の作成方法や記載内容、作成時のポイントなどを解説します。令和6年からの変更点や、罰則規定についても解説しますので、報告書を作成する際の参考にしてください。


目次[非表示]

  1. 1.労働者派遣事業報告書とは?
    1. 1.1.労働者派遣事業報告書を提出する目的
    2. 1.2.労働者派遣事業報告書の様式変更(令和6年6月分~)
  2. 2.労働者派遣事業に関する報告書の種類や提出について
    1. 2.1.労働者派遣事業報告書
    2. 2.2.労働者派遣事業収支決算書
    3. 2.3.関係派遣先派遣割合報告書
  3. 3.労働者派遣事業報告書の作成で準備すべき資料
    1. 3.1.労働者派遣事業収支決算書
    2. 3.2.労働者派遣事業個別契約書
    3. 3.3.雇入れ時又は配置転換時の安全衛生教育実施記録
    4. 3.4.派遣元管理台帳
    5. 3.5.その他の教育訓練実施記録
    6. 3.6.総勘定元帳
    7. 3.7.派遣料金請求書
    8. 3.8.雇用保険・社会保険通知書等
  4. 4.労働者派遣事業報告書の記載内容や書き方
    1. 4.1.第1面|事業所の情報・産業分類等
    2. 4.2.第2面|派遣労働者の雇用実績・売上高等
    3. 4.3.第3面~第4面|派遣料金・派遣労働者の賃金等
    4. 4.4.第5面|日雇い派遣労働者の派遣料金・賃金等
    5. 4.5.第6面|キャリアアップ措置の実施等
    6. 4.6.第7面~第8面|派遣労働者の実人数等
    7. 4.7.第9面|日雇い派遣労働者の実人数等
    8. 4.8.第10面~第14面|記載要領
  5. 5.労働者派遣事業報告書を作成する際のポイント
    1. 5.1.労働者を禁止業務に派遣していないか
    2. 5.2.日雇い派遣の原則禁止に該当しないか
    3. 5.3.グループ会社への派遣割合を遵守しているか
    4. 5.4.労働者派遣の抵触日を遵守しているか
    5. 5.5.雇用安定措置を行なっているか
    6. 5.6.キャリアアップ措置を行なっているか
    7. 5.7.派遣労働者に必要な情報を提供しているか
    8. 5.8.社会保険・労働保険の加入手続きをしているか
  6. 6.労働者派遣事業報告書の未提出や虚偽申告の罰則
  7. 7.労働者派遣事業報告書の集計結果を確認する方法
  8. 8.まとめ


労働者派遣事業報告書とは?

労働者派遣事業報告書とは、厚生労働省から派遣事業の認可を取得している企業が、毎年6月に提出するよう定められている報告書のことです。
 
派遣事業を行なう企業が、「派遣労働者の待遇を適切に定めているか」「事業を適正に運営しているか」などを、厚生労働省に書面で報告するため作成します。
 
労働者派遣事業報告書は、様式が定められており、主に以下のような内容を記載します。

  • 産業分類など事業所の情報
  • 派遣労働者の雇用実績や売上
  • 派遣労働者の賃金や派遣料金
  • キャリアアップ措置の実施内容
  • 派遣労働者および日雇い派遣労働者の実人数 など

 
なお、派遣事業の認可を取得している企業は、派遣実績が無い場合でも、労働者派遣事業報告書を提出するよう義務づけられています。書類の提出先は管轄の労働局です。毎年6月30日までに提出する必要があります。


労働者派遣事業報告書を提出する目的

厚生労働省が派遣会社に対し、労働者派遣事業報告書の提出を義務づけている主な目的は、「派遣労働者の待遇改善のため」です。派遣は柔軟性が高い働き方であるがゆえに、雇用が不安定化しやすい側面があります。
 
派遣労働者の雇用安定とキャリアアップを図り、誰もが安心して働ける環境を整備するため、派遣会社の業績や待遇などの運営状況を書面で毎年提出するよう求めているのです。


労働者派遣事業報告書の様式変更(令和6年6月分~)

労働者派遣事業報告書(様式第11号)は、令和6年6月提出分から様式が変更されています。旧様式では受理されないためご注意ください。
 
主な変更点は、以下の通りです。

改正面

改正箇所

改正内容

第1~2面

労働者派遣事業の売上高および請負事業の売上高欄

「労働者派遣事業の売上高」および「請負事業の売上高」欄を第1面の12、13から第2面のⅠ(2)、(3)へ変更。

第10面

記載要領位Ⅰの6および7

「事業所ごとの労働者派遣事業の売上高を記載すること」および「事業所ごとの請負事業の売上高を記載すること」を明記。

出典:厚生労働省「労働者派遣事業報告書の様式が令和6年6月報告分から変わります」


労働者派遣事業報告書のテンプレートは、厚生労働省のウェブサイトからダウンロードすることが可能です。新様式は以下のURLからダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
 
▼厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領(令和7年4月1日以降)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/hakenyouryou_00003.html


労働者派遣事業に関する報告書の種類や提出について

続いて、派遣会社が提出する報告書の種類や提出期限、提出方法などを解説します。厚生労働省が派遣会社に対し、毎年提出を義務づけている書類は以下の3つです。

  • 労働者派遣事業報告書
  • 労働者派遣事業収支決算書
  • 関係派遣先派遣割合報告書

 
各書類の概要や提出期限、提出方法などを詳しく見ていきましょう。


労働者派遣事業報告書

前述の通り、労働者派遣事業報告書は、派遣会社が毎年6月に提出するよう義務づけられている書類です。派遣実績が無い場合も、事業所ごとに作成・提出する必要があります。
 
労働者派遣事業報告書の提出期限や提出方法、提出部数は以下の通りです。

▼労働者派遣事業報告書の提出について

提出期限

  • 毎年6月30日
  • 6月30日が日曜の場合は7月1日
  • 6月30日が土曜の場合は7月2日

提出方法

下記いずれかの方法により提出

  • 郵送
  • 電子申請(e-Gov)
  • 管轄の労働局へ持参

提出部数

  • 正本1部
  • 写し2部

※ 派遣労働者と労使協定を締結している場合は、労使協定書の写し2部を添付して提出

出典:厚生労働省「労働者派遣事業報告書・労働者派遣事業収支決算書・関係派遣先派遣割合報告書について」


なお、派遣事業の労使協定方式に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ、本記事とあわせてご覧ください。

 
▼労使協定方式とは? 均等・均衡方式との違いやメリット、対応を解説

  労使協定方式とは? 均等・均衡方式との違いやメリット、対応を解説 本記事では労使協定方式について、わかりやすく解説します。労使協定方式の概要や派遣先均等・均衡方式との違い、メリット・デメリット、賃金の算出方法、対応することなどを解説しますので、ぜひ参考にしてください。 エン派遣-派遣会社様向けサイト


労働者派遣事業収支決算書

労働者派遣事業収支決算書とは、派遣会社の資産や売上、営業利益などの経営状況を厚生労働省に報告するための書類です。厚生労働省が指定するテンプレートを記入し、毎事業年度経過後3ヶ月以内に提出するよう義務づけられています。
 
労働者派遣事業収支決算書も、派遣実績の有無にかかわらず、事業所ごとに作成・提出する必要があります。提出期限や提出方法、提出部数は以下の通りです。

▼労働者派遣事業収支決算書の提出について

提出期限

  • 毎事業年度経過後3ヶ月以内
  • 例:決算日が3月30日の場合は6月30日が提出期限
    (提出期限が土日祝日に当たる場合は前倒し)

提出方法

下記いずれかの方法により提出

  • 郵送
  • 電子申請(e-Gov)
  • 管轄の労働局へ持参

提出部数

  • 正本1部
  • 写し2部

※ 労働者派遣事業報告書の6・7欄の記載を省略した場合は、貸借対照表および損益計算書を3部添付して提出

出典:厚生労働省「労働者派遣事業報告書・労働者派遣事業収支決算書・関係派遣先派遣割合報告書について」


関係派遣先派遣割合報告書

関係派遣先とは、「派遣会社の親会社」や「派遣会社の子会社」などに当たる関連企業のことです。関係派遣先派遣割合報告書は、「派遣会社の関連企業に対して労働者を派遣している割合」を厚生労働省に報告するための書類を指します。
 
関係派遣先派遣割合報告書も、厚生労働省が指定するテンプレートを記入し、毎事業年度経過後3ヶ月以内に提出するよう義務づけられています。また、派遣実績の有無にかかわらず、法人ごとに作成・提出する必要があります。
 
関係派遣先派遣割合報告書の提出期限や提出方法、提出部数は以下の通りです。

▼関係派遣先派遣割合報告書の提出について

提出期限

  • 毎事業年度経過後3ヶ月以内
  • 例:決算日が3月30日の場合は6月30日が提出期限
    (提出期限が土日祝日に当たる場合は前倒し)

提出方法

下記いずれかの方法により提出

  • 郵送
  • 電子申請(e-Gov)
  • 管轄の労働局へ持参

提出部数

  • 正本1部
  • 写し2部

※ 連結決裁導入が「無」の場合は、グループ企業(関係派遣先)一覧表を添付して提出

出典:厚生労働省「関係派遣先派遣割合報告書」


労働者派遣事業報告書の作成で準備すべき資料

ここからは、労働者派遣事業報告書を作成する際に、準備する資料について解説します。労働者派遣事業報告書の作成に必要な資料は、以下の8つです。

  • 労働者派遣事業収支決算書
  • 労働者派遣事業個別契約書
  • 雇入れ時又は配置転換時の安全衛生教育実施記録
  • 派遣元管理台帳
  • その他の教育訓練実施記録
  • 総勘定元帳
  • 派遣料金請求書
  • 雇用保険・社会保険通知書等

 
労働者派遣事業報告書を作成するためには、多くの資料が必要です。本記事を参考にして、早めに準備開始しましょう。


労働者派遣事業収支決算書

労働者派遣事業報告書の第2面には、労働者派遣事業の売上高や取引額などを記載する欄があります。報告書を作成する前に、労働者派遣事業収支決算書を作成しておきましょう。


労働者派遣事業個別契約書

労働者派遣事業報告書の第7・8・9面には、自社で雇用している派遣労働者の人数を記入する欄があります。
 
派遣労働者の人数は、「無期/有期雇用派遣労働者の数」「協定対象派遣労働者の数」「各業務別の派遣労働者の数」などに、細かく分けて記入しなくてはなりません。
 
また、業務別派遣労働者の平均賃金なども記入する必要があるため、個別契約書を用意しておきましょう。


雇入れ時又は配置転換時の安全衛生教育実施記録

労働者派遣事業報告書の第2面には、派遣労働者に対し、「労働安全衛生法第59条の規定に基づく安全衛生教育」を実施しているか記載する欄があります。

  • 教育の内容
  • 教育の方法
  • 教育の実施主体
  • 教育の平均実施時間
  • 受講した派遣労働者の数

 
上記のような項目を入力する必要があるため、安全衛生教育の実施記録を整理しておき、参考にしましょう。


派遣元管理台帳

派遣元管理台帳とは、派遣会社が派遣労働者1人につき1つ作成する管理台帳のことです。労働者派遣法により、「派遣労働者の個人情報」「雇用契約の内容」「就労先の情報」「教育訓練の内容」などを台帳にまとめ、3年間保存するよう義務づけられています。
 
労働者派遣事業報告書には、派遣会社が派遣労働者に対して実施した「教育訓練」「キャリアアップ措置」「雇用安定措置」などの内容を入力する欄があります。自社に保管されている派遣元管理台帳を確認しましょう。
 
なお、派遣元管理台帳については、以下の記事で詳しく解説しています。台帳に記載する内容や、派遣法改正により追記された内容などを詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。

 
▼派遣元管理台帳とは? 記載内容や保管方法、期限などをわかりやすく解説

  派遣元管理台帳とは? 記載内容や保管方法、期限などをわかりやすく解説 本記事では、派遣元管理台帳の概要や記載内容、保管方法などを解説します。派遣先管理台帳との違いや、派遣法の改正で追加された記載内容などもわかりやすく解説しますので、ぜひお役立てください。 エン派遣-派遣会社様向けサイト


その他の教育訓練実施記録

自社で雇用している派遣労働者に対し、安全衛生教育やキャリアアップ教育以外の教育訓練を別途実施している場合は、その旨も労働者派遣事業報告書に記入する必要があります。
 
たとえば、「就労先の業務とは直接関係がない一般教養に関する研修」や「派遣労働者が個人的に希望した業務セミナーの受講」などは、その他の教育訓練に該当します。労働者派遣事業報告書の第2面に記載しましょう。


総勘定元帳

総勘定元帳とは、すべての取引を勘定科目ごとに記録する帳簿のことです。労働者派遣事業報告書の第2面には、派遣先事業主を取引額上位5社まで記載する欄があるため、総勘定元帳も用意しておきましょう。


派遣料金請求書

労働者派遣事業報告書の第3・4・5面には、1日(8時間)あたりの派遣料金を記入する欄があります。派遣料金を業務ごとに、細かく分けて記入する必要があるため、派遣料金請求書を用意し、請求額をチェックできるようにしておきましょう。


雇用保険・社会保険通知書等

労働者派遣事業報告書の第9面には、派遣労働者が雇用保険や社会保険に加入しているか記載する欄があります。
 
加入状況は「雇用見込みが1年以上/1年未満の派遣労働者」「無期/有期雇用契約の派遣労働者」などに細かく分けて記載します。雇用保険や社会保険の通知書など、加入状況がわかる資料を用意しておきましょう。


労働者派遣事業報告書の記載内容や書き方

続いて、労働者派遣事業報告書の記載内容や書き方を解説します。厚生労働省が指定する様式には、第1面~第14面までシートが用意されています。
 
このうち、派遣会社が入力するのは第1面~第9面です。各シートの記載内容を詳しく見ていきましょう。


第1面|事業所の情報・産業分類等

第1面には、以下のような事業所の情報を詳しく記載します。

  • 事業所の名称・住所・代表者名
  • 事業所の規模・産業分類
  • 事業年度の開始日・終了日
  • 請負事業の実施の有無 など

 
上記を含め、全12項目を記入する必要があります。


第2面|派遣労働者の雇用実績・売上高等

第2面には、派遣労働者の雇用実績や、派遣事業の売上高などを詳しく記載します。そのほかにも、以下のような情報の記入が必要です。

  • 派遣労働者の雇用実績
  • 請負事業の売上高
  • 労働者派遣事業の売上高
  • 安全衛生教育の実施状況
  • 雇用安定措置の実施状況
  • その他の教育訓練の実施状況
  • 労働者派遣契約の期間別件数
  • 主な派遣先事業主(取引額上位5社) など


第3面~第4面|派遣料金・派遣労働者の賃金等

第3面~第4面には、派遣料金や派遣労働者の賃金について記載します。料金や賃金は、平均額を記載するだけでなく、無期/有期雇用派遣労働者に分けて、業務別に詳しく記載する必要があります。
 
なお、2021年度から以下の区分が追加されました。

  • 医師
  • 薬剤師
  • 看護師
  • 准看護師
  • 診療放射線技師
  • 臨床検査技師
  • その他の医療技術者


第5面|日雇い派遣労働者の派遣料金・賃金等

第5面には、日雇い派遣労働者の派遣料金や賃金などを記載します。自社に日雇い派遣労働者がいない場合は、「記載なし」として斜線を引きましょう。
 
なお、日雇い派遣労働者についても、2021年度から「看護業務」の区分が追加されています。


第6面|キャリアアップ措置の実施等

第6面には、派遣労働者に対するキャリアアップ措置の実施状況を記載します。キャリアアップ措置の実施状況については、以下のような項目を詳細に書く必要があります。

  • キャリアコンサルタントの人数
  • キャリアコンサルティングの実施回数
  • キャリアアップに資する教育訓練の内容
    (基礎的訓練・職能別訓練・職種転換訓練・階層別訓練・その他の訓練に分けて記載)

 
なお、第6面は「フルタイム勤務」または「短時間勤務」ごとに、1年目~4年目以降のキャリアアップ措置の実施状況を細かく記載する必要があります。教育訓練の内容が具体的にわかる資料も必要なので、添付して提出しましょう。


第7面~第8面|派遣労働者の実人数等

第7面~第8面には、6月1日現在における派遣労働者の実人数を記載します。

  • 派遣労働者の実人数
  • 業務別派遣労働者の実人数
  • 特定製造業務従事者の実人数
  • 期間制限の対象外となる派遣労働者の実人数 など

 
上記のように、自社で雇用する派遣労働者の人数について詳しく記載しましょう。
 
なお、2020年度から、協定対象派遣労働者の実人数を記載する欄が追加されています。自社が労使協定方式によって、派遣労働者の待遇を決定している場合は記載が必要です。
 
協定対象派遣労働者については、以下の記事で詳しく解説しています。概要を知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

 
▼協定対象派遣労働者とは? 労使協定方式の特徴や必要な対応も解説

  協定対象派遣労働者とは? 労使協定方式の特徴や必要な対応も解説 本記事では、協定対象派遣労働者や労使協定方式の概要、派遣元・派遣先が行なう対応などを解説します。派遣労働者の待遇を決める際にお役立てください。 エン派遣-派遣会社様向けサイト


第9面|日雇い派遣労働者の実人数等

第9面には、「日雇い派遣労働者の実人数」や「日雇い派遣労働者の業務別実人数」などを記載します。「過去1年以内に派遣されたことのある登録者(雇用されているものを含む)」の人数も記載する必要があります。
 
また、派遣労働者に対する雇用保険・健康保険・厚生年金保険の適用状況も記載します。保険関係の適用状況は、「雇用見込みが1年以上/1年未満の派遣労働者」「無期/有期雇用派遣労働者」にそれぞれ分けて細かく記載する必要があります。


第10面~第14面|記載要領

労働者派遣事業報告書の第10面~第14面は、第1面~第9面までの記載要領が記されています。そのため、派遣会社が特に何かを記入する必要はありません。各シートの書き方がわからなくなった際に、参考にするとよいでしょう。


労働者派遣事業報告書を作成する際のポイント

ここからは、労働者派遣事業報告書を作成する際のポイントや注意事項を8つ解説します。派遣事業を正しく運営し、自社の実態をきちんと厚生労働省に報告するため、日頃から以下の8点に気を付けましょう。


労働者を禁止業務に派遣していないか

労働者派遣法などの法令により、派遣禁止と定められている業務があります。たとえば以下5つの業務は、労働者の派遣が原則禁止されています。

  • 港湾運送業務
  • 建設業務
  • 警備業務
  • 病院・診療所などにおける医療関連業務
  • 弁護士・税理士・行政書士などの士業

※  就労条件などによって一部例外あり
 
禁止業務に労働者を派遣すると、法令違反として罰則の対象となります。自社の取引先(派遣先)を今一度よく確認しましょう。
 
なお、派遣禁止とされている業務については、以下の記事で詳しく解説しています。禁止業務の例外ケースなども紹介していますので、こちらの記事もぜひご覧ください。

 
▼人材派遣の業種を徹底解説|禁止業務や専門26業種、法改正の影響など

  人材派遣の業種を徹底解説|禁止業務や専門26業種、法改正の影響など 本記事では、派遣会社の方向けに、人材派遣ができる業種と禁止されている業種について、わかりやすく解説します。2015年の法改正で注目された「専門26業種」についても解説しますので、派遣事業に取り組む際の参考にしてください。 エン派遣-派遣会社様向けサイト


日雇い派遣の原則禁止に該当しないか

法令により、日雇い労働者(日々または30日以内の期間を定めて雇用する労働者)については、労働者派遣を行なってはならないと定められています。自社の派遣事業が、「日雇い派遣の原則禁止」に該当しないよう注意しましょう。
 
なお、日雇い派遣は、以下の条件に当てはまる場合のみ許可されています。

  • 60歳以上の労働者
  • 雇用保険の適用を受けない学生
  • 副業として従事する者(生業収入が500万円以上の者に限る)
  • 主たる生計者以外の者(世帯収入が500万円以上の者に限る)
  • 「日雇い派遣の例外業務」に該当する業務への労働者派遣(ソフトウェア開発・機械設計・事務用機器操作・通訳・翻訳など) 

出典:厚生労働省「日雇い派遣の原則禁止について」


グループ会社への派遣割合を遵守しているか

法令により、派遣会社のグループ会社への派遣割合は、8割を超えてはならないと定められています。自社がグループ会社への派遣割合を遵守しているか確認し、8割を超えないよう注意しましょう。


労働者派遣の抵触日を遵守しているか

労働者派遣法により、派遣には期間制限が設けられています。派遣労働者が、派遣先の同一事業所で就労できる期間は、原則3年が限度です。
 
派遣における「抵触日」とは、この派遣可能期間が満了した翌日(3年と1日目)を指します。自社が労働者派遣の抵触日をきちんと遵守しているか確認しましょう。
 
なお、抵触日については、以下の記事で詳しく解説しています。抵触日の種類やリセットする条件などを知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。

 
▼派遣の抵触日はリセットできる? 種類やクーリング期間、注意点などを解説

  派遣の抵触日はリセットできる? 種類やクーリング期間、注意点などを解説 本記事では、人材派遣の抵触日について、概要や種類、リセットできる条件、注意点などを解説します。抵触日をリセットするために重要な「クーリング期間」についても解説しますので、参考にしてください。 エン派遣-派遣会社様向けサイト


雇用安定措置を行なっているか

派遣労働者の雇用安定を図るため、派遣会社には「派遣就業の見込みが3年であり、継続就業を希望する有期雇用派遣労働者に対し、雇用安定措置を取ること」が義務づけられています。自社の雇用安定措置が、適切に実施されているか確認しましょう。
 
法令により義務づけられている雇用安定措置は、以下の通りです。

▼労働者派遣法により義務づけられている雇用安定措置
  1. 派遣先への直接雇用の依頼
  2. 新たな派遣先の提供
    (※ 能力、経験等に照らして合理的なものに限る)
  3. 派遣元での無期雇用
  4. その他安定した雇用継続を図るために必要な措置
    ​​​​​​​(有給の教育訓練、紹介予定派遣等)

※ ①を講じた場合に、直接雇用されなかったときは、②から④までのいずれかを講ずるものとする。
※ 就業見込みが1年以上3年未満の場合は、①~④のいずれかの措置を講じる努力義務がある。
※ 派遣元事業主に雇用された期間が通算1年以上の場合は、②~④のいずれかの措置を講じる努力義務がある。

出典:厚生労働省「雇用安定措置について」


キャリアアップ措置を行なっているか

派遣労働者のキャリアアップを図るため、派遣会社には「キャリアアップ措置を講じること」が義務づけられています。派遣会社が行なうべきキャリアアップ措置には、以下のような取り組みがあります。

  • 段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画を定めること
  • キャリアコンサルティングの相談窓口を設置すること
  • 「キャリア形成を念頭に置いた派遣先の提供」について規定すること

出典:厚生労働省「派遣労働者のキャリアアップのため、教育訓練計画を策定してください」


派遣労働者に必要な情報を提供しているか

派遣会社が、派遣労働者と雇用契約を締結するときは、就業条件や賃金などの待遇を明示する必要があります。自社が雇用契約を締結する際に、必要な情報をきちんと派遣労働者へ提供しているか、過去の契約書などを確認してみましょう。


社会保険・労働保険の加入手続きをしているか

派遣会社は、派遣労働者を雇用する際に、適切な社会保険・労働保険の加入手続きを行なう必要があります。各種保険の加入状況は、派遣事業を正しく運営しているか否かのチェックポイントとなるため、日頃から間違いが生じないよう注意しましょう。


労働者派遣事業報告書の未提出や虚偽申告の罰則

労働者派遣事業報告書は、毎年6月30日までに作成・提出するよう定められています。未提出または虚偽の申告をした場合は、以下のような罰則の対象となります。

  • 30万円以下の罰金
  • 派遣事業の許可の取り消し

 
たとえば、「社会保険に加入させるべき労働者が未加入のままだが、報告書には全員加入と記載した」「実際にはキャリアアップ措置を講じていないが、報告書には適切に実施していると書いた」などのケースは、悪質な虚偽申告として罰則の対象となる可能性があります。
 
労働者派遣事業報告書は、派遣事業を健全に運営するための指標となる書類です。内容を事前によく確認し、派遣会社に義務づけられている取り組みを日頃からしっかりと実施するよう気を付けましょう。


労働者派遣事業報告書の集計結果を確認する方法

労働者派遣事業報告書は、厚生労働省が毎年集計し、取りまとめた結果を公表しています。集計結果を確認することにより、労働者派遣の現状を把握できるでしょう。
 
一般社団法人 日本人材派遣協会では、厚生労働省が公表した集計結果を一覧にまとめています。以下のURLからご覧いただけますので、ご興味がある方はぜひご覧ください。
 
▼一般社団法人 日本人材派遣協会「労働者派遣事業報告」

https://www.jassa.or.jp/know/library/report/


まとめ

労働者派遣事業報告書の作成方法や記載内容、作成時のポイント、罰則規定などを解説しました。
 
労働者派遣事業報告書とは、派遣会社が毎年6月30日までに提出するよう定められている事業報告書のことです。厚生労働省が指定する様式を記入し、管轄の労働局へ提出します。
 
労働者派遣事業報告書は、派遣事業を適正に運営するため重要な書類です。自社の事業実態が法令に抵触しないよう、日頃から記載内容についてよく確認しておきましょう。


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