600人に聞いた派遣社員のリアルな退職理由


「派遣社員のリアルな退職理由」のイメージ画像


「派遣社員が就業後すぐに退職してしまう……」
「派遣社員の退職理由の本音を把握して対策したい!」
派遣社員の退職について、上記のようにお悩みの派遣会社は多いものです。
 
本記事ではエン・ジャパン株式会社が運営する「派遣の働き方研究所」が実施したアンケート調査をもとに、派遣社員のリアルな退職理由を解説しています。本記事をお読みいただくと、派遣社員の退職につながる要因を把握できるので、退職防止策の立案にぜひお役立てください。



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目次[非表示]

  1. 1.派遣社員の退職理由に関する調査概要
    1. 1.1.アンケート調査の内容について
  2. 2.派遣契約の終了理由(当てはまるものすべて)の期間別TOP5
    1. 2.1.「労働環境/仕事内容のミスマッチ」が全期間で1位と2位
    2. 2.2.1~3ヶ月間は派遣先社員のフォローが重要と判明
    3. 2.3.長く続けてもらうには「人間関係・成長できる環境」が重要
  3. 3.派遣契約の終了理由(もっとも当てはまるもの)の期間別TOP5
    1. 3.1.1ヶ月以内の退職には「募集内容と実態が異なる」が大きく影響
    2. 3.2.「労働環境のミスマッチ」は退職意思を強める要因になる
    3. 3.3.「正社員で仕事が決定」が全期間でTOP5にランクイン
  4. 4.就業前後にギャップを感じた項目について
    1. 4.1.就業前後にギャップを感じた項目(当てはまるものすべて)の期間別TOP5
    2. 4.2.就業前後にギャップを感じた項目(もっとも当てはまるもの)の期間別TOP5
    3. 4.3.「仕事内容/上司・同僚」が両アンケートで1位と2位
    4. 4.4.「仕事内容/上司・同僚/教育体制」に対するギャップの声
    5. 4.5.「スキル・経験/勤務条件/環境・設備/勤務地」に対するギャップの声
  5. 5.まとめ


派遣社員の退職理由に関する調査概要

本記事はエン・ジャパン株式会社が運営する「派遣の働き方研究所」が実施したアンケート調査をもとに、派遣社員のリアルな退職理由について解説します。調査の概要は、以下の通りです。

調査主体

エン・ジャパン株式会社「派遣の働き方研究所」
調査データ等のお問い合わせはこちら
hakenhk-info@en-japan.com

調査対象

20~59歳の男女
直近3年以内に長期(3ヶ月以上)前提で、派遣就業を開始かつ半年以内に契約終了した方

調査地域

全国

調査手法

インターネットリサーチ

調査実施時期

2023年12月14日~12月19日

分析対象サンプル数

618サンプル


エン・ジャパン株式会社が運営する「派遣の働き方研究所」とは、派遣ビジネスと派遣労働者のキャリア形成を調査・研究する専門組織です。
 
本研究所は派遣業界の有識者や派遣会社への取材、派遣ビジネスや派遣労働者に関する調査・研究・提言を行ない、「派遣で働くことを通じた人生の充実と派遣会社の発展」に寄与することを目指しています。


アンケート調査の内容について

今回、派遣の働き方研究所では、派遣社員を対象に「契約の終了理由」や「就業前後のギャップ」に関するアンケート調査を実施し、618名の回答が集まりました。アンケート調査の内容は以下の通りです。

  • 派遣契約の終了理由(当てはまるものをすべて回答)
  • 派遣契約の終了理由(もっとも当てはまるものをひとつ回答)
  • 就業前後にギャップを感じた項目(当てはまるものをすべて回答)
  • 就業前後にギャップを感じた項目(もっとも当てはまるものをひとつ回答)

 
集まった回答を、就業から契約終了までの期間別(1ヶ月・3ヶ月・半年以内)に分け、派遣社員の早期退職につながりやすい要因を分析しています。
 
本記事をご覧いただくことによって、派遣社員の退職に関する本音がわかり、対策を立てやすくなるでしょう。就業後、長きにわたって活躍する派遣社員がひとりでも増えるよう、ぜひ本記事を離職対策にお役立てください。


派遣契約の終了理由(当てはまるものすべて)の期間別TOP5

派遣社員の退職理由は、ひとつとは限りません。人によっては、複数の要因が重なって退職に至る場合もあるでしょう。
 
以下の表は、派遣社員に「派遣契約の終了理由」について、当てはまるものすべてを回答いただいた結果です。このアンケート結果からは、「派遣社員の退職理由として多い要因」がわかります。


派遣の終了理由(当てはまるものすべて)


「労働環境/仕事内容のミスマッチ」が全期間で1位と2位

アンケート結果をより詳細に見ていきましょう。派遣契約の終了理由(当てはまるものすべて)の回答結果を見ると、全期間において「労働環境が合わなかった」「仕事内容が合わなかった」の2つが1位・2位にランクインしています。


労働環境・仕事内容のミスマッチ

 
上記の結果から、労働環境や仕事内容のミスマッチは、派遣社員の退職に大きく影響するといえるでしょう。労働環境や仕事内容のミスマッチを防止するため、登録面談などでしっかりとすり合わせを行なう必要があります。


1~3ヶ月間は派遣先社員のフォローが重要と判明

就業から1ヶ月以内・3ヶ月以内に契約終了した派遣社員の回答には、「派遣先社員の対応に不満」がランクインしています。


派遣先社員の対応に不満


就業した直後は、誰でも不安を感じやすいものです。派遣先社員からのフォローが十分でないと、派遣社員の早期退職につながってしまいます。
 
派遣社員を十分にフォローしてもらうためには、派遣会社が派遣先の担当者とあらかじめ打ち合わせをして、しっかりと協力を得る必要があります。「派遣社員の早期退職を防ぐには、派遣先社員のフォローが重要」という旨を説明し、派遣先の協力を仰ぎましょう。


長く続けてもらうには「人間関係・成長できる環境」が重要

就業開始から1ヶ月を超えると、「派遣先社員との人間関係」「成長できないと感じた」といった退職理由が上位に入ってきます。


人間関係・成長できる環境


上記のアンケート結果から、派遣社員に半年以上、長く続けてもらうためには「人間関係が良好な職場」「仕事を通して成長できる環境」といった要素が大切であるといえるでしょう。
 
派遣会社は、派遣先の労働環境に直接手を加えることはできませんが、「派遣社員が長期的に就業するため大切な要素」を派遣先へ伝えることは可能です。上記の要素をしっかりと伝えて、派遣社員が安定して就労できる環境を整えられるようにしましょう。


派遣契約の終了理由(もっとも当てはまるもの)の期間別TOP5

以下の表は、派遣社員に「派遣契約の終了理由」について、もっとも当てはまるものをひとつ回答いただいた結果です。このアンケート結果からは、「派遣社員の退職意思をもっとも強める要因」がわかります。


派遣の終了理由(当てはまるものひとつ)

 

1ヶ月以内の退職には「募集内容と実態が異なる」が大きく影響

「1ヶ月以内に契約終了」した人の回答を見ると、ほかの期間に比べて、さまざまな退職理由が上位にランクインしています。そのなかでも注目したいのが「募集内容と実態が異なる」という退職理由です。


募集内容と実態が異なる


「募集内容と実態が異なる」という退職理由がランクインしているのは、「1ヶ月以内に契約終了した人×1位」のみ。求人に記載された情報と仕事の実態が異なる場合、派遣社員の早期離職につながる可能性が非常に高まるため、注意したほうがよいといえます。


「労働環境のミスマッチ」は退職意思を強める要因になる

次に「労働環境が合わなかった」という退職理由について詳しく見ていきましょう。この退職理由は、「派遣契約の終了理由(当てはまるものすべて)」の回答結果でも、全期間で1位にランクインしていました。
 
「派遣契約の終了理由(もっとも当てはまるものひとつ)」の回答結果でも、それぞれの期間で1位と3位に入っています。


労働環境が合わなかった


上記の回答結果から、「労働環境が合わなかった」という状況は、派遣社員の退職理由として多いだけでなく、クリティカルな要因となる可能性が高いといえるでしょう。派遣社員の退職意思を強める要因となってしまうため、優先的に対策する必要があります。


「正社員で仕事が決定」が全期間でTOP5にランクイン

「派遣契約の終了理由(もっとも当てはまるものひとつ)」の回答結果では、それぞれの期間で「正社員で仕事が決まった」という退職理由がTOP5にランクインしています。


正社員で仕事が決まった


近年では、少子高齢化および労働人口の減少により、採用市場が雇用形態に関係なく、求職者に有利な「売り手市場化」しています。
 
求職者が以前よりも正社員になりやすい状況であるため、派遣会社は「派遣市場が正社員市場とも競合しやすくなっている」ことを押さえておく必要があります。
 
派遣社員の募集および就業の支援にあたり、派遣会社は派遣先の協力を仰いで「正社員との不合理な待遇格差を改善する」「就労環境・人間関係を改善する」などの離職防止につながる取り組みを推進したほうがよいでしょう。
 
なお、派遣社員の退職を防止し、定着率を上げる方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。より具体的な対策方法を知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。

▼派遣にすぐ辞める人が多いのはなぜ? 5つの理由と定着率を上げる6つの方法

  派遣にすぐ辞める人が多いのはなぜ?5つの理由と定着率を上げる6つの方法 本記事では、派遣社員がすぐ辞める5つの理由や、辞めやすい職場の特徴、定着率を上げる6つの方法について解説します。「派遣社員にすぐ辞める人が多いのはなぜ?」とお困りの方は、ぜひ参考にしてください。 エン派遣-派遣会社様向けサイト


就業前後にギャップを感じた項目について

続いて、派遣社員が「就業前後にギャップを感じた項目」についてのアンケート結果を解説します。一般的に、就業前後のギャップは早期退職につながりやすい傾向があります。アンケート結果から派遣社員の傾向を把握し、退職防止にお役立てください。


就業前後にギャップを感じた項目(当てはまるものすべて)の期間別TOP5

以下の表は、派遣社員が「就業前後にギャップを感じた項目」について、当てはまるものをすべて回答いただいた結果です。


ギャップを感じた項目(当てはまるものすべて)


上記の結果から、派遣社員にとって、就業前後のギャップを感じやすい項目がわかります。全期間で1位にランクインしている項目は「仕事内容」です。
 
「派遣契約の終了理由」に関するアンケート調査でも「募集内容と実態が異なる」という回答が上位に入っていました。募集内容と実態の乖離は、早期離職につながる大きな要因となります。派遣社員が仕事内容にギャップを感じないよう、対策を講じたほうがよいでしょう。


就業前後にギャップを感じた項目(もっとも当てはまるもの)の期間別TOP5

以下の表は、派遣社員が「就業前後にギャップを感じた項目」について、もっとも当てはまるものをひとつ回答いただいた結果です。


ギャップを感じた項目(当てはまるものひとつ)


上記の結果から、派遣社員にとって、もっとも就業前後のギャップを感じやすい項目がわかります。全期間で1位に「仕事内容」、2位に「上司・同僚」がランクインしています。
 
以降で、この「仕事内容」と「上司・同僚」がランクインしている理由について、さらに深掘りします。


「仕事内容/上司・同僚」が両アンケートで1位と2位

派遣社員が就業前後にギャップを感じた項目の調査において、「当てはまるものすべて」「もっとも当てはまるものひとつ」の両アンケートの全期間で、1位と2位が同じ回答となっています。


仕事内容/上司・同僚


事前に説明するのが難しい「上司・同僚」だけでなく、派遣前に説明することが多い「仕事内容」でもミスマッチが多く発生しているとわかります。具体的にどのようなミスマッチが起きているのか、アンケート調査に寄せられた派遣社員のリアルな声を紹介します。


「仕事内容/上司・同僚/教育体制」に対するギャップの声

ここからは、アンケート調査に寄せられた派遣社員のリアルな声をいくつか紹介します。まずは、ギャップを感じた項目で上位となっていた「仕事内容/上司・同僚/教育体制」に関する意見を見てみましょう。


▼仕事内容に対するギャップの声

  • 事務というより雑務全般であった。立ち仕事や電話応対もあった。
    (1ヶ月以内に契約終了/女性/23歳)
  • あまりにも暇でやることがなくて、ただひたすら立っているだけだった。
    (1ヶ月以内に契約終了/女性/31歳)
  • PC操作が想像していたよりも少なかったので、ギャップを感じました。
     (3ヶ月以内に契約終了/女性/23歳)
  • 簡単そうな仕事内容と説明を受けたが、実際は難しく忙しかった。
    (3ヶ月以内に契約終了/女性/43歳)


▼上司・同僚に対するギャップの声

  • 怖い人が多かった。
    (1ヶ月以内に契約終了/女性/30歳)
  • あまり若い方がいらっしゃらなかった。
    (3ヶ月以内に契約終了/女性/26歳)
  • 人間関係が良好ではなかった。
    (3ヶ月以内に契約終了/女性/30歳)
  • 上司と同僚が男性だらけで最初は相談しづらかった。
    (3ヶ月以内に契約終了/女性/42歳)
  • 派遣スタッフがみんな私よりずっと年下ばかりだった。
    (3ヶ月以内に契約終了/女性/43歳)


▼教育体制に対するギャップの声

  • 事前に聞いていた話と違いフォローアップはほぼなかった。
    (1ヶ月以内に契約終了/女性/29歳)
  • 研修が短くて簡単な説明だけで終わってしまった。
    (3ヶ月以内に契約終了/女性/25歳)
  • 研修制度がなく、派遣だからこその即戦力を求められて困惑した。
    (3ヶ月以内に契約終了/女性/47歳)
  • 指導者がいなかった。
    (3ヶ月以内に契約終了/女性/57歳)


「スキル・経験/勤務条件/環境・設備/勤務地」に対するギャップの声

続いて、「スキル・経験/勤務条件/環境・設備/勤務地」に対するギャップの声を紹介します。派遣社員の長期的な就労を促進するため、これらの項目に対するギャップも、なるべく軽減したほうがよいでしょう。
 
 
▼求められるスキル・経験に対するギャップの声

  • 未経験可能と聞いていたが相当の知識やスキル、気合いや根性が必要だった。
    (半年以内に契約終了/男性/30歳)
  • 未経験でも良いとあったが、求められるスキルが高すぎた。
    (半年以内に契約終了/女性/39歳)
  • 誰でもできると謳っていたが、器用さやコミュニケーション能力が必要だった。
    (1ヶ月以内に契約終了/女性/32歳)

 
 
▼勤務条件に対するギャップの声

  • 勤務時間が長く、業務が多い。
    (1ヶ月以内に契約終了/男性/24歳)
  • 土日休みと聞いていたのに、土曜出勤を求められる。
    (半年以内に契約終了/女性/26歳)
  • 希望していた日時で働くのが難しかった。
    (半年以内に契約終了/女性/49歳)

 
 
▼オフィス環境・設備に対するギャップの声

  • オフィスを見たら狭かった。
    (1ヶ月以内に契約終了/女性/36歳)
  • トイレが和式しかなかった。
    (3ヶ月以内に契約終了/女性/29歳)
  • 更衣室が遠いので、売り場に近いトイレやバックヤードで着替えていた。
    (半年以内に契約終了/女性/48歳)

 
 
▼勤務地に対するギャップの声

  • 勤務地を選べると言っていたのに選べなかった。
    (半年以内に契約終了/男性/47歳)
  • 徒歩で駐車場から職場まで30分かかるのを、勤務開始前日に伝えられた。
    (半年以内に契約終了/女性/27歳)
  • 送迎だと思っていたら自力だった。
    (3ヶ月以内に契約終了/女性/40歳)


まとめ

エン・ジャパン株式会社が運営する「派遣の働き方研究所」が実施したアンケート調査をもとに、派遣社員のリアルな退職理由について解説しました。
 
本記事で紹介した4種類のアンケート結果をまとめると、主に以下のような要因が、派遣社員の退職につながりやすいといえるでしょう。

  • 労働環境が合わない
  • 仕事内容が合わない
  • 募集内容と実態が異なる
  • 派遣先社員の対応に不満

 
派遣会社としては、派遣先に協力を仰いで「募集内容と実態に乖離が生じないようにする」「派遣社員へのフォロー体制を整えてもらう」などの取り組みを推進する必要があります。
 
本記事で紹介したアンケート結果をもとに、退職防止策を講じれば、派遣社員が安心して長期的に就労できるようになるでしょう。


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