派遣にすぐ辞める人が多いのはなぜ? 5つの理由と定着率を上げる6つの方法


「派遣 辞める人多い」のイメージ画像


派遣元企業や派遣先企業の中には、派遣社員がすぐ辞めてしまうことに悩む方も多いでしょう。派遣先企業にとって、社員が短期間で辞めると、新たな人手を確保するためのコストや手間が増えてしまいます。
 
また派遣元企業にとっては、自社から派遣した人材がすぐ辞めてしまうと、自社の信用に悪影響を及ぼす可能性があります。どちらの立場であっても、派遣社員がなるべく快適に、長く勤められる環境を整える必要があるといえるでしょう。
 
そこで本記事では、派遣社員がすぐ辞める5つの理由や、辞めやすい職場の特徴、定着率を上げる6つの方法について解説します。「派遣社員にすぐ辞める人が多いのはなぜ?」とお困りの方は、ぜひ参考にしてください。


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目次[非表示]

  1. 1.派遣社員がすぐ辞める5つの理由
    1. 1.1.待遇面に不満がある
    2. 1.2.人間関係に悩みがある
    3. 1.3.仕事内容にミスマッチがある
    4. 1.4.スキルや経験が不足している
    5. 1.5.今後のキャリア形成に不安がある
  2. 2.派遣社員がすぐ辞めるデメリット
    1. 2.1.派遣元に生じるデメリット
    2. 2.2.派遣先に生じるデメリット
  3. 3.派遣社員がすぐに辞める職場の特徴
  4. 4.派遣社員の定着率を上げる6つの方法
    1. 4.1.待遇面を見直す
    2. 4.2.人間関係を改善する
    3. 4.3.業務内容を最適化する
    4. 4.4.募集条件を具体的に記載する
    5. 4.5.働きやすい環境をつくる
    6. 4.6.スキルアップできる仕組みをつくる
  5. 5.まとめ


派遣社員がすぐ辞める5つの理由

まずは、派遣社員がすぐ辞める代表的な理由について解説します。以下のグラフはエン・ジャパンが運営する派遣専門の求人サイト「エン派遣」で、派遣社員として働く方に「仕事の悩みはありますか?」と伺ったアンケート調査の結果です。


派遣社員が感じる仕事の悩み


出典:エン派遣「仕事の悩み(2020年4月調査)について」
 

アンケート結果から見ると、派遣社員がすぐ辞める代表的な理由は、大きく5パターンに分けられます。

  • 待遇面に不満がある
  • 人間関係に悩みがある
  • 仕事内容やミスマッチがある
  • スキルや経験が不足している
  • 今後のキャリア形成に不安がある

 
各パターンについて、より詳しく見ていきましょう。


待遇面に不満がある

派遣社員として働く方へのアンケート調査で、圧倒的な1位となった仕事の悩みは「給与・待遇」でした。給与・待遇の不満に関する意見には、以下のようなものがありました。

  • 給与が上がらない
  • 仕事量が多い割に給与が低い
  • 仕事を認められても給与に反映されない
  • 繁忙期と閑散期があり、給与が変動する
  • シフトを減らされてしまい思うように働けない

 
現在、厚生労働省が推進する「同一労働・同一賃金」により、同じ業務を行なう正社員との待遇格差が改善されつつあります。
 
しかし派遣社員は、依然として「昇給しにくい」「自分の労働成果が適切に評価されない」といった不満を感じやすい傾向があるようです。待遇の見直しは、派遣社員の離職防止につながるといえるでしょう。


人間関係に悩みがある

給与・待遇に次いで多くの割合を占めているのが、人間関係の悩みでした。派遣社員として働く方へのアンケート調査では、以下のような意見が挙げられています。

  • 派遣先の上司に何をやっても否定されるので、モチベーションが上がらない
  • 忙しくなってくると、派遣先の社員がピリピリするので質問しづらくなる
  • 派遣先には元気な方が多いので、大人しい自分は気後れしてしまい馴染めない

 
またアンケート調査では、就業先の上司や社員との人間関係だけでなく、「就業先の派遣社員との人間関係に悩んでいる」という回答もありました。
 
一般的に人間関係の悩みは、雇用形態にかかわらず早期離職につながりやすいため、円滑にコミュニケーションが取れる環境を整える必要があります。


仕事内容にミスマッチがある

仕事の悩みに関するアンケート調査では、仕事内容・仕事量・仕事の進め方など、業務上の悩みも上位となっていました。「仕事量が多すぎる」「仕事をなかなか覚えられない」といった悩みを持つ方も多いようです。
 
また、仕事内容に何らかのミスマッチがあり、「想像していた仕事と違った」「契約時に説明された仕事内容と実態が異なっていた」などの理由で早期離職につながるケースもあります。
 
エン派遣が行なった別のアンケート調査によると、就業前後で感じたギャップにより仕事を辞めた経験がある方は多くいます。以下のグラフをご覧ください。


就業前後のギャップが原因で仕事を辞めた割合


出典:エン派遣「就業前後のギャップについて」
 

実際の業務と就業前のイメージにギャップがあると、離職の原因になりやすいといえるでしょう。
 
また、派遣社員として働く方に対するアンケートでは、就業前後で感じるギャップについて伺いました。その結果、特に「仕事内容」「仕事量」「残業時間」「難易度」など、業務に関する項目が多く挙げられました。


派遣社員が就業前後にギャップを感じたポイント


出典:エン派遣「就業前後のギャップについて」
 

業務に関してミスマッチがあると、派遣社員がギャップを感じ離職につながりやすくなるため、募集要項を明確に記述するなどの対策が必要です。


スキルや経験が不足している

派遣社員として仕事をするなかで、「自分自身のスキルや経験が不足している」と感じ、悩んでしまうケースもあるようです。仕事の悩みに関するアンケートでは、「スキル・経験不足」に多くの回答が寄せられています。
 
たとえば、「募集要項を読んだときは問題なくこなせる仕事だと思ったが、実際にやってみると意外に難しく、自分のスキル不足に悩んでしまった」という声や、「求人情報に未経験可と書かれていたため応募したが、仕事のペースが思ったより早く、実際にはある程度のスキルや経験が必要だと感じた」という声も上がりました。
 
派遣社員に就業前後のギャップを感じさせないようにするため、求人に仕事の難易度を具体的に記載したり、研修制度を改善したりするなどの工夫が必要です。


今後のキャリア形成に不安がある

近年、リスキリングに注目が集まっている影響もあり、派遣社員として働くなかで「今後のキャリアに悩んでいる」と回答する方も多くいました。リスキリングとは、働き方の変化や技術革新に対応するため、新しいスキル・知識を学ぶことです。
 
エン派遣が派遣社員として働く方へ「リスキリングの必要性を感じたことがあるか」伺ったアンケート調査では、「ある/ときどきある」と回答した割合が90%を超えています。


派遣社員が感じるリスキリングの必要性


出典:エン派遣「リスキリングについて」
 

また、同調査でリスキリングへの興味を伺ったところ、「大いにある/ある」と回答した割合も90%を超えていました。


派遣社員のリスキリングへの興味


出典:エン派遣「リスキリングについて」
 

上記のアンケート結果より、派遣社員として働いている方々の多くがリスキリングの必要性を感じており、興味を持っていることがわかります。
 
そのため仕事の悩みに関するアンケート調査では、「誰でもできるような仕事内容で、スキルアップ感がないので不安」といった声が寄せられています。派遣社員が今後のキャリア形成に不安を感じずに済むよう、適度に成長の機会を与えるとよいでしょう。


派遣社員がすぐ辞めるデメリット

派遣社員がすぐ辞めてしまうと、派遣元企業・派遣先企業それぞれに以下のようなデメリットが生じます。


派遣元に生じるデメリット

派遣元企業は、派遣社員を外部へ派遣する立場です。自社から派遣した人材が、派遣先の企業をすぐ辞めてしまうと、自社に対する信用の低下につながる可能性があります。
 
派遣先から自社への信用が低下した結果、派遣契約を打ち切られてしまうかもしれません。派遣先を失わないようにするためにも、社員が長く働ける環境の構築は不可欠です。


派遣先に生じるデメリット

派遣社員を受け入れる立場である派遣先企業にとって、派遣社員の早期離職は、次の状況につながります。

  • 新たな人材を受け入れるためのコストや工数がかかる
  • 新たな人材を受け入れるまでの間、既存社員の業務負担が増える

 
派遣先企業は、派遣社員を受け入れるにあたり、派遣元企業から人材を紹介してもらえます。しかし早期離職が相次ぐと、人材確保にかかるコストや工数が増えてしまうため、人事担当者や教育担当者の負担が増えるでしょう。
 
また、新しい人員を確保するまでの間、既存社員の業務負担が増えるため、現場が疲弊する可能性もあります。派遣先企業においても、派遣社員の早期離職を防ぐ対策が必要といえるでしょう。


派遣社員がすぐに辞める職場の特徴

派遣社員がすぐ辞める職場には、いくつか共通点があります。辞めやすい職場の特徴は以下の通りです。当てはまる項目がある場合は、改善策を講じたほうがよいでしょう。

▼給与や待遇に関する特徴

  • 労働成果が昇給につながらない
  • 同業務の正社員と待遇格差がある
  • 仕事の量や難易度と給与が割に合わない
  • 繁忙期や閑散期があり、時期によって給与の変動が大きい


▼仕事内容に関する特徴

  • 仕事量が多すぎて残業時間が長い
  • 業務範囲が不明瞭で定まっていない
  • 教育研修が不十分で仕事を覚えづらい
  • 求人情報と実際の業務内容に差異がある
  • 業務指示がなく、派遣社員が放置されている
  • 成長機会がないため、キャリアアップにつながらない


▼人間関係に関する特徴

  • 社内の人間関係が悪い
  • ハラスメントが横行している
  • 派遣社員が質問しづらい雰囲気がある
  • 忙しすぎて職場の雰囲気がピリピリしている
  • 派遣先の正社員との間に壁があり、派遣社員が孤立しやすい


▼その他の特徴

  • 交通アクセスが悪く通いづらい
  • 作業環境や休憩室などが不衛生である
  • 評価制度が適切でなく、公平性を感じられない


派遣社員の定着率を上げる6つの方法

ここからは、派遣社員の定着率を上げる6つの方法について解説します。派遣社員を受け入れる派遣先企業は、以下の方法を参考に働きやすい環境を整えましょう。
 
また派遣元企業としても、自社から派遣した人材が安心して働けるよう、尽力する必要があります。派遣先企業に労働条件をヒアリングしたり、課題がある場合は改善策を提案したりして、派遣社員が働きやすい環境づくりを促進しましょう。


待遇面を見直す

給与や福利厚生などを見直して待遇面の改善を行なうと、定着率向上につながります。以下のように待遇を改善し、派遣社員が仕事のモチベーションを保てるようにしましょう。

  • 待遇を見直して業務内容に見合う給与にする
  • 派遣先で同業務を行なう正社員との格差を解消する

 
また近年では、厚生労働省により「同一労働・同一賃金」が推進されています。「同一労働・同一賃金」は、すべての企業に遵守することが義務づけられているため、同業務に従事する正社員と派遣社員との間に不当な格差をつくらないよう注意しましょう。


人間関係を改善する

派遣社員の定着率を向上させるには、職場の人間関係を改善することも重要です。以下のグラフは、エン派遣が派遣社員として働いた経験のある方に「働きやすい職場の特徴」を伺ったアンケート調査の結果です。


働きやすいと感じた職場の特徴


出典:エン派遣「働きやすい環境」について
 

アンケート結果を見ると「社内の人間関係が良い」「挨拶・声がけなど社内コミュニケーションが活発」といった職場の人間関係に関する意見が上位となっています。
 
また、社内の人間関係が良く働きやすいと感じたエピソードとして、以下のような声が寄せられていました。

  • 適度な雑談が許されている寛容な職場は働きやすいと感じた
  • ミスをしても周囲へ報告しやすいフォロー体制が整えられていた
  • 就業先の社員から「ありがとう」「ゆっくり休んでね」などの声かけがあった
  • 挨拶や軽い雑談があって社内の雰囲気が良く、電話の受け渡しもスムーズだった

 
人間関係の良し悪しが働きやすさに大きく影響するため、「適度な雑談を許可する」「派遣社員への声かけを行なう」などの取り組みを実施し、正社員と派遣社員の垣根をなくして話しやすい環境を整えましょう。


業務内容を最適化する

エン派遣のアンケート調査により、派遣社員として働く方の多くが、仕事内容や仕事量、仕事の難易度に悩みを抱えているとわかっています。業務内容や業務研修を最適化し、悩みを払しょくしましょう。
 
業務の最適化には、以下のような取り組みが効果的です。

  • 業務の割り振りを最適化し、派遣社員が過負荷となるのを防ぐ
  • 新しい業務を依頼するときは、きちんと教育研修を実施する
  • 派遣社員が業務に関して質問しやすいフォロー体制を整える

 
上記のような取り組みを実施し、派遣社員が安心できる労働環境をつくりましょう。


募集条件を具体的に記載する

「派遣社員がすぐ辞める理由」において、就業前後のギャップは離職につながりやすいと紹介しました。
 
たとえば、派遣社員と派遣先企業の間で業務内容の認識にミスマッチがあり、社員が「イメージしていた仕事と違った」「想像していたよりスキルや経験が必要な仕事だった」とギャップを感じてしまうと、モチベーションが低下し早期離職につながる可能性があります。
 
派遣社員と派遣先企業の間でミスマッチを生じさせないようにするため、求人情報に業務内容や必要なスキル、あったほうがよい業務経験などを具体的に記載しましょう。


働きやすい環境をつくる

就業先の正社員と派遣社員との間に、不当な格差をつくってはいけません。派遣先企業は、派遣社員に対して、正社員と同様に清潔で安心安全な職場環境を提供する必要があります。
 
たとえば以下のようなポイントに配慮し、派遣社員が快適に働ける環境を構築すると、定着率アップにつながるでしょう。

  • 派遣社員に正社員と同等の作業環境を用意する
  • 就業時に着用する制服などは清潔なものを提供する
  • 派遣社員も休憩スペースを気兼ねなく利用できるようにする


スキルアップできる仕組みをつくる

「派遣社員がすぐ辞める理由」のなかに、今後のキャリア形成に悩みを抱えるケースが多いとありました。スキルアップやキャリア形成につながる仕組みを構築すると、定着率が改善されるでしょう。

  • 定期的にスキルアップ研修を行なう
  • 新しい業務に挑戦できる機会をつくる
  • セミナーを開催して新しい知識を身につけてもらう

 
上記のような取り組みを行ない、成長機会を提供しましょう。
 
派遣先企業だけでなく、派遣元企業においてもスキルアップの取り組みは重要です。自社の教育制度やキャリア支援制度などを見直して、社員の成長につなげましょう。


まとめ

派遣社員がすぐ辞める5つの理由や、辞めやすい職場の特徴、定着率を上げる6つの方法などを解説しました。派遣社員がすぐ辞める理由には、以下の5パターンが挙げられます。

  • 待遇面に不満がある
  • 人間関係に悩みがある
  • 仕事内容やミスマッチがある
  • スキルや経験が不足している
  • 今後のキャリア形成に不安がある

 
派遣先企業・派遣元企業ともに、上記の要因を払しょくし、派遣社員が働きやすい環境を構築する必要があります。待遇や人間関係、求人情報の書き方などを改善し、働きやすい環境を整えることで定着率が向上するでしょう。
 
 
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