派遣社員のオンボーディング入門|早期離職防止や活躍度向上に有効な方法
オンボーディングとは、新入社員がいち早く企業に馴染み、活躍できるようにするための取り組みのことです。オンボーディングは確保した人材の早期離職防止や、活躍度向上に有効であるため、多くの企業から注目されています。
本記事では、派遣社員に対するオンボーディング施策を紹介します。オンボーディングを派遣社員への対応にも取り入れることにより、人材が就業先に定着し、良いパフォーマンスを発揮できるようになるでしょう。
「派遣社員がすぐに辞めてしまう」「派遣社員がなかなか就業先で活躍してくれない」このようなお悩みを抱えている方は、本記事をぜひ派遣社員へのサポートにお役立てください。
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オンボーディングとは
オンボーディングとは、新しく会社に加わった人材がいち早く組織に馴染み、活躍できるようにするための取り組みのことです。
オンボーディングの代表的な施策には、以下のようなものがあります。
- 相談窓口の設置
- 受け入れ体制の整備
- 定期的な面談の実施
派遣社員が退職するまでの期間
以下の円グラフは、派遣専門の求人サイト「エン派遣」を利用する派遣経験者に行なったアンケート調査の結果です。派遣経験者に「入社から退職までの期間」を質問した結果、1年以内の早期退職が82%と大半を占めることが明らかになりました。
また、1~3ヶ月以内で退職した経験のある方は、半数以上となりました。
労働人口の減少が著しい現代において、人材確保に悩む派遣会社は多いもの。「派遣した人材がすぐに退職する」という状況が続くと、派遣会社にとって大きな損失となります。
派遣社員へ積極的にオンボーディングを実施し、早期退職を防ぐ必要があるといえるでしょう。
派遣社員の早期離職につながる原因「GRC」とは
ここからは、派遣社員の早期離職につながる主な原因を解説します。
年間数万人の採用を支援するエン・ジャパンが、早期離職の傾向を分析した結果、「ギャップ(Gap)・リレーション(Relation)・キャパシティ(Capacity)」の3つが離職に大きく影響するとわかりました。
この3点は、それぞれの頭文字を取って「GRC」と呼ばれています。GRCは主に以下のような状態を指します。
- ギャップ(Gap)=入社前に抱いたイメージとのギャップがある状態
- リレーション(Relation)=職場の人間関係に悩んでいる状態
- キャパシティ(Capacity)=仕事の業務量に不満がある状態
「GRC」への理解を深めて対策を講じることが、派遣社員のオンボーディングにつながります。それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。
Gap|入社後のギャップ
入社後のギャップとは、「就業前に抱いていたイメージや期待と、就業後に見た現実との乖離」のことです。
たとえば「求人には『残業少なめ』と書いてあったのに、実際は夜遅くまで仕事をしなくてはならない日が少なくなかった」という状況が生じた場合、就業前に抱いていたイメージとのギャップが「騙された」という印象につながり、早期離職の原因となってしまいます。
そのため派遣社員の定着を目指すには、就業後のギャップを軽減させる対策が重要となります。ただし、ギャップを感じるポイントは人により異なります。
以下のグラフは、エン派遣のユーザーへ行なったアンケート調査の結果です。「これまでにギャップが原因で仕事を辞めたことがある派遣経験者」に対して、離職の原因となった1番のギャップポイントを質問したところ、次のような結果となりました。
アンケートの結果では「職場の雰囲気」と「仕事の内容」が、圧倒的な差で上位となっています。人によりギャップを感じるポイントは異なりますが、上位となった要因については、派遣先へ入念にヒアリングしておいたほうがよいでしょう。
派遣先からヒアリングした情報を、派遣社員にあらかじめ提供することができれば、離職の原因となりやすいギャップを軽減させられます。
Relation|直属の上司とのリレーション
リレーションとは「関係・つながり」を意味する言葉です。派遣社員の場合は、主に「派遣先企業の管理者との関係」を指します。
「派遣先企業の管理者との関係」は、離職に大きく影響します。募集業務と同様の仕事を経験している派遣社員は、即戦力としての活躍を期待されがち。しかし勤める企業が変われば、仕事の進め方や風土などが異なるので、誰しも少なからず孤独を感じるはずです。
派遣社員が孤独を感じているとき、管理者に相談しづらかったり、話しかけにくかったりすると、離職リスクが高まってしまいます。派遣社員と管理者がスムーズに信頼関係を構築できるようサポートしましょう。
Capacity|仕事に対するキャパシティ
キャパシティとは、仕事の業務量に対して不満がある状態のこと。「業務過多」だけでなく、「業務過少」も離職リスクにつながります。
たとえば仕事に慣れないうちから、正社員と同じ業務量を任された場合、派遣社員の心身が疲弊してしまうでしょう。その逆に、仕事を教えられる正社員がおらず、就業後に放置された場合、派遣社員が疎外感を覚えて職場に居づらくなってしまいます。
派遣社員を定着させるためには、業務過多・業務過少の両方を回避し、適切な業務量で就業できるよう考慮する必要があります。
派遣社員におすすめのオンボーディング施策
ここまで、派遣社員の早期離職につながる主な原因を解説しました。前述した離職につながる原因を解消するため、派遣社員にもオンボーディング施策を行なうことが大切です。
ここからはエン・ジャパンが運営する「入社後活躍研究所」が、甲南大学の尾形教授と共同研究を行なった「中途入社者のオンボーディング」 に関する調査結果を紹介します。
この調査では、以下の13施策が、有効なオンボーディング施策の候補として挙げられました。
- 入社1ヶ月以内の導入研修
- 入社2ヶ月以降の継続的な研修
- ランチや飲み会など歓迎イベント
- 会社オリジナルグッズの配布
- メンターや相談役などの支援制度
- 上司と中途入社者の定期的な面談
- 人事と中途入社社の定期的な面談
- 上司など受け入れ側に対する教育
- 職場内コミュニケーションの活性化
- 外部の離職防止サービスの導入
- ハラスメントなどの相談窓口
- 社内の情報ポータルサイト
- 社内プロジェクトや小集団活動に参加させる
このなかで実際に有効な施策はどれなのか。また、派遣社員に対して行なえるものはどれなのか解説します。
優先的に取り組むべきオンボーディング施策
前述した13施策のうち、派遣社員に対して効果的と考えられるオンボーディング施策は、以下の4つです。
- メンターや相談役などの支援制度
- 上司と中途入社者の定期的な面談
- 人事と中途入社社の定期的な面談
- 上司など受け入れ側に対する教育
ピックアップしたものは「離職率の低下」「パフォーマンスの向上」両方の観点から、派遣社員のオンボーディングにおいて、優先的に取り組むべき施策であると考えられます。
そのうえで、派遣会社向けに「相談窓口などの支援制度を設ける」「派遣先企業に対するフォロー」「派遣会社と派遣社員の定期的な面談」という3つの施策にまとめ直し、実施すべき支援内容を具体的に解説します。
相談窓口などの支援制度を設ける
派遣社員に対するオンボーディング施策のひとつとして「相談窓口などの支援制度を設けること」が有効です。前述した中途入社者のオンボーディングに関する調査では、「メンターや相談役を用意するなどの支援制度」が、もっとも有効だったという結果が出ています。
しかし派遣先に、派遣社員のメンターを用意してもらうのは、なかなか難しいでしょう。そこで派遣会社に相談窓口を設け、派遣社員が気軽に利用できる状態をつくるのがおすすめです。
派遣社員が仕事に対して疑問や不安を感じたとき、「誰に相談したらよいかわからない」という事態を避けることで、悩みの解消につながります。
相談窓口を設ける際は、以下の例のように「相談方法・相談できること・対応までの時間」を提示すると、実際に相談するイメージを持ってもらいやすくなり、利用率が高まります。
相談方法 |
相談できること |
対応までの時間 |
チャット |
勤怠について |
リアルタイム対応 |
メール |
スキルアップについて |
3日以内に対応 |
電話 |
人間関係・ハラスメントについて |
予約制・昼休みも対応 |
受け入れ体制を整える
中途入社者のオンボーディングに関する調査では、「上司など受け入れ側に対する教育」も有効な施策として上位に挙げられていました。
この施策を派遣社員に対して行なう場合は、派遣先に交渉し、受け入れ準備をフォローするとよいでしょう。受け入れが始まる前に、派遣先の管理者と面談をするのもおすすめです。
まずは、必ずしも「派遣社員=即戦力」とは限らないと理解してもらうことが大切です。派遣社員が活躍するためには、「派遣先での業務に必要なスキルを習得すること」や「派遣先のルール・習慣を覚えること」などが必要となります。
派遣先の管理者に、受け入れ側の準備もある程度は必要になる旨を伝え、派遣社員を受け入れるための姿勢や対応の仕方を交渉して、働きやすい環境を整えましょう。
派遣先に推奨すべき対応例には、以下のようなものが挙げられます。以下の対応例を参考に、受け入れ体制を整備してもらえるよう交渉しましょう。
▼派遣先企業に推奨すべき対応例 |
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定期的な面談を行なう
「上司や人事との定期的な面談」も、中途入社者のオンボーディングに有効という調査結果が出ています。この施策を派遣社員に対して行なう場合は、派遣会社の担当者との面談を定期的に実施するとよいでしょう。
以下のグラフは、エン派遣のユーザーにアンケート調査した結果です。「就業中、派遣会社のフォローはどの程度重視しますか?」という質問に対し、フォローを「非常に重視する」「重視する」と回答したユーザーは、合計で約8割にも上りました。
また、「希望する連絡や訪問などのフォロー頻度を教えてください」という質問に対しては、「月に1回」「月に2~3回」と回答した人が多いという結果になりました。
月に1~3回程度は連絡や訪問を行なうほか、希望者に対しては週に1回程度、こまめにフォローしていくのがおすすめです。派遣会社の担当者と定期的に面談を行なうことで、派遣社員が安心して就業できるようになります。
なお、派遣社員の定着率を上げる方法について、より多くの情報を知りたい場合は、以下の記事も参考になります。ぜひ、本記事とあわせてご覧ください。
▼派遣にすぐ辞める人が多いのはなぜ? 5つの理由と定着率を上げる6つの方法
派遣社員の登録・就業不足にお悩みなら「エン派遣」がおすすめ
本記事では、派遣社員へのオンボーディング施策について解説しました。派遣社員の定着にお悩みの場合は、「相談窓口の設置・受け入れ体制の整備・定期的な面談の実施」という3施策を優先的に取り組むのがおすすめです。
オンボーディング施策を派遣社員への対応に導入することで、人材が就業先に定着し、高いパフォーマンスを発揮できるようになるでしょう。
また、派遣社員の登録不足や就業不足にお悩みの場合は、ぜひ「エン派遣」にご相談ください。エン派遣は、派遣のお仕事の募集に特化した求人サイトです。
エン派遣の最大の強みは「派遣求職者の利用率がNo.1」(※)ということ。派遣のお仕事情報サイトは無数にありますが、もっとも利用されているのがエン派遣なのです。
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エン派遣のサービスの詳細はこちらで解説しています。ぜひご一読ください。
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