派遣市場の動向と戦略トレンド|派遣会社の経営者が押さえたいポイントを解説


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本記事では、『派遣ビジネス研究会』が開催したセミナーをもとに作成しております。派遣ビジネス研究会とは、会員の方向けに、派遣事業に関する最新情報を幅広くお伝えする取り組みです。
 
派遣市場は少子高齢化による労働人口の減少や、新型コロナウイルス感染症の流行など、さまざまな影響を受けて少しずつ変化しています。
 
派遣会社は正社員募集やアルバイト募集など、隣接マーケットの動きを見ながら、時勢を読んで営業戦略を考えていく能力が求められます。
 
しかし、市場の流れに適した戦略を策定するのは、簡単なことではありません。そこで今回は、派遣専門の求人サイト「エン派遣」を運営する中で見えてきた「派遣会社の経営者が押さえるべき、派遣業界の市場動向と戦略トレンド」をお伝えします。

  • 2023年の派遣市場の動向と戦略トレンド
  • 2024年以降の派遣市場の予測と戦略トレンド

 
上記の内容をわかりやすく、データを用いて解説しますので、今後の業務にお役立てください。


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目次[非表示]

  1. 1.派遣会社の経営環境と変化
  2. 2.2023年の派遣市場動向
    1. 2.1.有効求人倍率の推移
    2. 2.2.派遣専門サイトの求人数と歩留りの推移
    3. 2.3.派遣求人の就業決定率低下とその背景
    4. 2.4.派遣市場の変化
  3. 3.2023年の派遣会社の戦略トレンド
    1. 3.1.DX化で生産性やマッチング精度を向上
    2. 3.2.営業力の強化
    3. 3.3.多様な人材の獲得
  4. 4.2024年の派遣会社の戦略トレンド
    1. 4.1.コア業務に専念する時間の確保
    2. 4.2.デジタルテクノロジーを使った生産性向上
    3. 4.3.マーケットに合わせた営業戦略の立て直し
  5. 5.まとめ


派遣会社の経営環境と変化

まず、派遣会社を取り巻く経営環境と、変化の傾向についてご説明します。


派遣会社の経営環境と変化


新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行したことにより、日本の経済活動は回復基調となりました。
 
しかし2023年には、図のように「持続的な賃上げ・人材獲得競争の激化・働き方ニーズの多様化・コストの増加」といった変化が生じているため、派遣会社を取り巻く環境は、依然厳しい状況が続いているといえます。
 
2024年は2023年に生じた上記の変化が、さらに加速する1年になると予想されます。変化に対応しなければ、「生産性や利益率の低下・稼働数の減少」などのリスクにつながるでしょう。
 
また、市場のトレンドを押さえて変化を起こせる企業と、起こせない企業に大きな差が生まれる1年になり、派遣会社の経営状況が二極化していく可能性が高いと予想されます。
 
つまり今後、派遣会社を取り巻く経営環境は、2023年よりもさらにシビアな変化となる可能性が高いのです。以降で、2023年の派遣市場について、より詳しい動向をご説明します。


2023年の派遣市場動向

2023年の派遣市場の動向には、以下のような特徴があります。

  • 有効求人倍率は横ばい~低下傾向
  • 派遣専門サイトの求人数はコロナ禍以前と同水準まで回復
  • 派遣募集の歩留まりは低下傾向

 
それぞれの動向や背景について詳しく見ていきましょう。


有効求人倍率の推移

有効求人倍率とは、求職者に対する求人数の割合です。厚生労働省がハローワークの求職者数・求人数をもとに算出しており、採用難易度を図る指標のひとつとして使われています。
 
有効求人倍率は「求人数÷求職者数」の計算式で算出されます。つまり倍率が1を上回ると求人数の方が多く、1を下回ると求職者数の方が多い状況ということです。


有効求人倍率


こちらのグラフは、有効求人倍率の推移です。グラフを見ると、直近の有効求人倍率は1.28倍であることがわかります。
 
コロナ禍前に比べると倍率が低下しているため、採用しやすくなったようにも見えますが、実態は少々異なります。
 
実態と差異が出る理由は、有効求人倍率があくまでも「ハローワークの求職者数・求人数をもとに算出された数値」であり、ハローワーク内の採用難易度を図るものだからです。
 
続いて、派遣市場の実態により近いデータを見てみましょう。


派遣専門サイトの求人数と歩留りの推移

こちらのグラフは、派遣専門の求人サイト「エン派遣」の掲載求人数の推移です。



派遣専門サイトの求人数


派遣の掲載求人数は2020年に大きく減少していますが、現在はコロナ禍前と同水準まで回復しています。
 
続いて、派遣会社の歩留まり率のグラフをご覧ください。以下のグラフは、派遣会社における「新規応募→就業決定の歩留まり」の推移を示したものです。


派遣専門サイトの歩留りの推移


グラフを見ると、派遣会社の就業決定までの歩留まりは低下しています。つまり派遣求人の掲載数が、コロナ禍前と同水準まで回復しているにもかかわらず、就業決定までの歩留まりは低下傾向なのです。
 
上記2つのグラフの結果から、「人材を取り合うライバル企業の数が元に戻り、就業が決まりづらくなっているため、以前より募集の難易度が上昇している」といえるでしょう。


派遣求人の就業決定率低下とその背景

では、派遣求人の就業決定率が低下し、募集の難易度が高くなっている理由は何なのでしょうか。
 
その理由のひとつに「派遣求人数が増えているため、求職者がより良い条件や待遇を求めて、求人を吟味する傾向が強まっていること」が挙げられます。以下のグラフをご覧ください。


派遣求人の就業決定率低下とその背景

 
こちらのグラフは、派遣で働く方へ「最近の求人状況・仕事の決まりやすさ」に対する印象を聞いたアンケート結果です。
 
最近の求人状況をどのように感じていますか?という質問には、72%が「以前より良くなっている」と回答。また半数以上が、「仕事が決まりやすくなっている」と回答しています。
 
以前より仕事が決まりやすくなったということは、複数社から内定をもらいやすくなっているということを意味します。そのため、求職者がより良い条件や待遇を求めて求人を吟味し、強気で転職活動を行なっていることがうかがえます。


派遣市場の変化

派遣会社の就業決定率が低下している背景には、次の要因も考えられます。

  1. 新規案件の獲得が難しく、求職者にとって目新しい案件が少ない
  2. 人材マーケット全体が売り手市場のため、採用上の競合が増えている

 
➀の新規案件数については、「請求交渉のほうに注力しており、新規案件の優先順位を下げざるを得なかった」といった内部的な事情をお聞きするケースが多くなっています。
 
また②に関して、以下の「正社員を中心とする転職求人数」と「アルバイト求人数」のグラフをご覧ください。


派遣市場の変化


先ほど、派遣求人数がコロナ禍前と同水準まで回復していると述べましたが、正社員を中心とする転職求人数も右肩上がりで推移しています。
 
またアルバイト求人数も、コロナ化を超える水準まで回復しているとわかります。つまり、派遣求人以外の求人数も増加傾向にあり、人材市場全体で採用の競争率が高まっている状況なのです。
 
全体的に求人数が増加しているため、人材市場は求職者に有利な売り手市場となっています。
 
売り手市場が続くと、今まで派遣社員を希望していた求職者のなかにも「正社員になれるなら、正社員も視野に入れて就職活動をしようかな」と考える人が出てくるなど、違う働き方を検討する人も増えてきます。


採用上の競合数のイメージ


図のように求職者一人に対する求人数が増え、採用上の競合が増加すると、これまで派遣希望だった求職者が、正社員などの隣接マーケットに流れやすくなります。その結果、派遣会社の新規応募からの就業決定率が、低下傾向となっているのです。


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2023年の派遣会社の戦略トレンド

続いて、2023年の派遣会社の戦略トレンドはどうだったか見ていきましょう。
 
2023年は厳しい市況でしたが、競合環境の変化をとらえて対策をとっている会社は、一定の成果を出しています。その戦略トレンドには、次の3つが挙げられます。


DX化で生産性やマッチング精度を向上

2023年に見られた戦略トレンドのひとつに、「DX化による生産性やマッチング精度の向上」があります。DX化とはデジタル技術やデータを活用し、製品・サービス・業務・組織などを変革して、自社の競争力を上げることです。
 
DX化を実施して業務改善を行ない、生産性やマッチング精度を向上させることで、成果につなげる派遣会社が多くありました。たとえば、以下のような取り組み事例が挙げられます。
 
・システムツールの導入による業務改善(工数削減・スピード改善・既登録者の掘り起こし など)
・ターゲットへ訴求する詳細な求人広告
・応募者対応フローの細やかな改善


営業力の強化

派遣会社が競争力を高めるためには、以下のように営業力を強化する施策も重要です。

  • 新規案件獲得の強化
  • 無期雇用派遣の強化
  • 定着率を改善させるためのフォロー強化
  • スタッフ向けの資産運用サポートサービスを開始

 
上記のような営業強化対策は、厳しい市況のなかでも一定の成果につながっています。


多様な人材の獲得

業務改善や営業力の強化だけでなく、人材の獲得に力を入れている派遣会社も多く見られました。たとえば、以下のような取り組みが挙げられます。
 
・シニア人材や外国人材を積極的に取り入れる
・人気の高いリモートワーク求人を打ち出す
・リスキリングを導入する
 
また、派遣労働者や求職者の希望に合わせて、要件を調整する動きも見られました。たとえば「年齢制限を緩和する・在宅勤務に対応する・就業日数を変更する」といった調整を柔軟に行なうなどの取り組みが挙げられます。


2024年の派遣会社の戦略トレンド

ここからは、2024年における派遣会社の戦略トレンドを解説します。


コア業務に専念する時間の確保

派遣会社がさらなる成長を実現するには、「営業力の強化対策・人材の定着率アップ」といった施策を行なうための時間を確保することが重要です。
 
そのためにノンコア業務と呼ばれる部分の業務比率を、デジタルテクノロジーなどを活用しながら削減し、コア業務に注力できる状態をつくる必要があります。


2024年の派遣会社の戦略トレンド


2024年以降、派遣市場で高い成果を出せるかどうかは、この「ノンコア業務の効率化・コア業務への注力」がポイントとなります。
 
ノンコア業務をデジタル化によって削減し、「生産性の向上・営業戦略の立て直し」などのコア業務に注力できれば、市場で優位性を保てる可能性が高いでしょう。


デジタルテクノロジーを使った生産性向上

生産性を向上させる取り組みには、以下のようにデジタルテクノロジーを活用する方法が挙げられます。
 
・営業支援システムを活用した営業プロセスのデジタル化
・採用管理システムを活用したマッチングプロセスのデジタル化
 
こちらは、営業支援システムを活用した営業プロセスのデジタル化の一例です。


営業支援システムを活用した営業プロセスのデジタル化の一例


 
営業支援システムを活用することで、営業リスト作成から案件化までのプロセスを最適化できるため、「営業担当者の生産性UP・営業力強化」が実現可能となります。
 
またこちらの図は、採用管理システムを活用した、マッチングプロセスのデジタル化の一例です。


採用管理システムを活用したマッチングプロセスのデジタル化の一例


採用管理システムを活用することで、派遣求人媒体の自動連携から応募データの取り込み、さらに応募から稼働までの採用プロセスを最適化できます。その結果「コーディネーターの生産性UP・マッチング力の強化」が実現可能となります。
 
上記2つの図でご紹介した「営業支援システム」「採用管理システム」はエン・ジャパンでも取り扱いがあります。ご興味があれば、お問い合わせ窓口までご連絡ください。


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また、マッチングプロセスに関しては、求職者も重視していることがわかっています。以下のグラフは、登録する派遣会社や、就業の決め手を聞いたアンケート結果です。


登録する派遣会社や、就業の決め手を聞いたアンケート結果

登録する派遣会社はどのように決めますか?という質問に対し、「応募後の連絡が早い」と回答しているユーザーが多くいます。
 
また、就業を決めた派遣会社の特徴に関する質問では、「応募後の連絡・質問への回答など対応が早い」という回答が1位となっています。
 
選考時の対応速度を重視するユーザーは多いため、マッチングプロセスのデジタル化を実施し、スピーディーな対応が可能な環境を整える必要があります。


マーケットに合わせた営業戦略の立て直し

営業戦略の立て直しを実行する際は、昨今の多様な人材ニーズと、業界ごとの需給ギャップを正しく把握し、戦略に活かす必要があります。営業戦略を練るにあたり、昨今とくに注目されているキーワードは、こちらの4つです。
 ​​​​​​​

  • シニア人材の活用
  • 外国人材の活用
  • DX人材の育成
  • 物流・建設2024年問題

 
なかでも特に関心が集まっているのは、シニア人材の活用です。年齢制限の緩和などは進んでいる会社もありますが、戦略的にシニア人材を活用している会社は、まだ少ないのではないでしょうか。
 
シニア人材の活用には、以下のメリットがあります。


シニア人材の活用メリット


シニア人材を活用するメリットを正しく伝えると、受け入れ枠を増やせる可能があります。受け入れてもらいやすい職種にアプローチするなど、市場に合わせた営業戦略を練ることで、継続的な成果につなげられるでしょう。
 
エン・ジャパンでは、こうしたシニア人材の活用のノウハウがありますので、ご興味があればご連絡いただければ幸いです。



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まとめ

派遣市場の動向と戦略トレンドについて解説しました。派遣市場は「持続的な賃上げ・人材獲得競争の激化・働き方ニーズの多様化・コストの増加」などの影響により、徐々に変化しています。
 
派遣募集の難易度が上がるなかで継続的に成果を出すためには、DX化による業務改善や、マーケットに合わせた営業戦略などを実行していく必要があります。



  • ノンコア業務をDX化してコア業務へ注力する
  • 営業支援システムを使って営業プロセスをDX化し、生産性を向上する
  • 採用支援システムを使ってマッチングプロセスをDXし、マッチング精度と速度を上げる


 
上記のような業務改善を行なうことが、2024年以降も成果を上げ続けられるかどうかのポイントとなります。
 
加えて、シニア層や外国人層など多様な人材を活用し、時代の変化に対応した営業戦略を策定することで、就業決定率の向上につながるでしょう。
 
とはいえ、競合環境が目まぐるしく変化するなかで、自社の競争力を上げていくのは簡単なことではありません。派遣社員・派遣スタッフの募集でお悩みなら、『エン派遣』にぜひご相談ください。
 
『エン派遣』は、派遣のお仕事の募集に特化した求人サイトです。『エン派遣』の最大の強みは「派遣求職者の利用率がNo.1」(※)だということ。派遣のお仕事情報サイトは無数にありますが、その中でも一番利用されているのがエン派遣ということです。
 
主要な派遣サイトを利用する求職者のうち、約83%がエン派遣を利用していました。つまり、エン派遣を利用すれば派遣スタッフとして働くことを希望する求職者の大半に求人をアピールできます。
 
派遣専門の求人サイトとして20年以上の実績があるからこそ、派遣会社からも派遣求職者からも広く認知され、数多くの就業をご支援してきました。歴史があるということは、それだけ募集成功させてきた実績も豊富にあります。
 
派遣社員・派遣スタッフの募集を行なう際は、ぜひエン派遣にご相談ください。


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エン派遣のサービスの詳細はこちらで解説しています。ぜひご一読ください。


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エン派遣は派遣求職者の利用率No.1:いずれかの派遣情報サイトを1年以内に利用した方(20~40代男女)を対象に2023年に行なったアンケート調査より(当社調べ)。



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