【企業向け】派遣社員への面接は原則禁止? 禁止の理由や面談について解説
人員補充などのため派遣社員を受け入れる際、面接を実施したいと考える企業は多いでしょう。しかし、企業が受け入れ前に派遣労働者を面接することは、法律で原則禁止されています。派遣社員を受け入れるときは、面接ではなく面談(顔合わせ)を行なうのが一般的です。
本記事では、派遣社員を受け入れる際に面接を行なってはいけない理由や、面談(顔合わせ)の手順について詳しく解説します。面談で使える質問例や、面談で聞いてはいけないNG質問などもあわせて紹介しますので、派遣社員を受け入れる際の参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.派遣社員への面接は原則禁止されている
- 2.派遣社員との面談(顔合わせ)とは
- 2.1.面談の参加者と目的
- 2.2.派遣社員の面談をするときのポイント
- 3.派遣社員との面談の流れ
- 3.1.派遣社員と派遣会社の担当者を迎え入れる
- 3.2.派遣社員と面談担当者がお互いに自己紹介する
- 3.3.面談担当者より業務内容・就業条件などを説明する
- 3.4.スキルや業務に関する質疑応答を行なう
- 3.5.職場見学を行なう
- 4.派遣社員の面談に使える質問例
- 4.1.業務経験・職歴に関する質問例
- 4.2.保有スキル・資格に関する質問例
- 4.3.就業条件に関する質問例
- 5.派遣社員からよくある逆質問例
- 6.派遣社員との面談で聞いてはいけないNG質問
- 6.1.本人に責任のない事項
- 6.2.本来自由であるべき事項
- 6.3.男女雇用機会均等法に抵触する質問
- 6.4.業務に関係のない個人情報
- 7.まとめ
派遣社員への面接は原則禁止されている
派遣先となる企業が、派遣社員へ面接を行なうことは、労働者派遣法第26条6項によって原則禁止されています。ここでは、面接が原則禁止されている理由や例外となるケース、面接の代わりに行なう面談について解説します。
派遣社員への面接が原則禁止されている理由
派遣社員への面接が原則禁止されている理由は、派遣社員が派遣先企業(派遣社員を受け入れる企業)と直接雇用契約を結ぶわけではないからです。
派遣社員は、派遣元企業(派遣会社)と雇用契約を結び、派遣先企業へと派遣される形式の働き方。つまり、派遣社員を選別・特定・雇用する権利を有しているのは、派遣元企業(派遣会社)なのです。
そのため派遣先企業(派遣社員を受け入れる企業)は、派遣社員を選別・特定・雇用する行為が認められていません。採用面接のほかにも、以下のような選別・特定行為が原則禁止とされています。
・労働者派遣に先立って面接をすること
・派遣元の会社に、労働者の履歴書を送付させること
・発注にあたって若年者に限るなどの指示すること など
紹介予定派遣の場合は例外的に認められている
「紹介予定派遣」とは、派遣期間が終了したあと、派遣労働者と派遣先企業が双方合意した場合に、社員として入社できる形式の派遣労働のことです。
紹介予定派遣の場合は、派遣期間終了後、円滑に直接雇用へと移行できるようにするため、例外的に面接の実施が認められています。
基本的には面談(顔合わせ)を行なう
「面接が禁止されているならば、どのように派遣社員のスキルや人となりを確認すればよいのだろう?」と不安に思う方もいるでしょう。
派遣社員を受け入れるときは、基本的に面接ではなく面談(顔合わせ)を行ないます。以降の見出しで、派遣社員との面談について詳しく解説します。
派遣社員との面談(顔合わせ)とは
派遣社員を受け入れる際は、面接ではなく面談を実施し、候補者の保有スキルや業務経験、就業条件の確認などを行ないます。この面談は「顔合わせ」とも呼ばれ、企業と候補者がお互いへの理解を深めたり、就労条件を確認したりする大切な場です。
面談の参加者と目的
派遣面談は、「派遣社員・派遣元企業の担当者・派遣先企業の担当者」の三者面談となります。派遣面談の目的は、派遣社員のスキルや業務経験、就業条件などを改めて確認すること。そのため派遣面談では、以下のような内容をチェックします。
・派遣社員の担当業務や責任範囲の確認
・派遣社員の就業条件の確認
・派遣社員の保有スキル・資格・業務経験の確認 など
また派遣面談は、派遣社員が派遣先企業について理解を深める場でもあります。面談後に職場見学を行なうケースが多いので、配属先の部署や現場をスムーズに見て回れるよう準備しておきましょう。
派遣社員の面談をするときのポイント
派遣社員を受け入れる際の面談では、以下の3点に気を付けましょう。
・派遣社員のスキルと募集職種がマッチしているか確認する
・面談担当者が「会社の顔」となること意識する
・派遣社員の疑問・不安を面談で解消する
派遣社員の保有スキルや業務経験と、募集職種がマッチしていれば、受け入れ後スムーズに就業できる可能性が高くなります。
また、面談担当者は派遣社員にとって、企業の印象を左右する「会社の顔」です。身なりを整えて感じ良く接し、派遣社員が就業にあたり感じている疑問・不安を面談時に解消してあげると、信頼関係を構築できるでしょう。
派遣社員との面談の流れ
続いて、派遣面談の一般的な流れを解説します。面談時間の目安は20分前後です。スムーズに進められるようチェックしておきましょう。
派遣社員と派遣会社の担当者を迎え入れる
派遣社員は、派遣元企業の担当者と事前に近くで待ち合わせて、一緒に面談会場へ来るのが一般的です。派遣先企業の面談担当者は、時間になったら、派遣社員と派遣元企業の担当者を面談会場へ迎え入れましょう。
派遣社員と面談担当者がお互いに自己紹介する
派遣社員と派遣元企業の担当者を会場へ迎え入れたら、面談を始める前に少しアイスブレイクするのがおすすめです。
アイスブレイクとは、緊張をほぐすための軽い雑談のこと。派遣社員の緊張をほぐし、リラックスして話してもらった方が、本来の人となりが見えやすくなります。
アイスブレイクが済んだら、派遣社員と面談担当者がお互いに自己紹介しましょう。その際、派遣社員に対して、年齢や居住地などの個人情報を聞くのは原則禁止されています。
面談担当者から「簡単な自己紹介をお願いします」と促し、自由な形式で話してもらうとよいでしょう。
面談担当者より業務内容・就業条件などを説明する
自己紹介が済んだら、面談担当者より業務内容や就業条件に関して、改めて説明を行ないます。派遣先企業と派遣社員の間に、認識の相違が生じないよう、丁寧に説明しましょう。
この時、派遣社員が就業条件に対応可能かどうかも、あわせて確認します。「毎日の通勤時間に無理はありませんか?」などの質問を行ない、派遣社員が無理なく就業できるか確認するとよいでしょう。
スキルや業務に関する質疑応答を行なう
続いて、派遣社員のスキルや業務経験に関する質疑応答を行ないます。派遣社員の保有スキルや資格、業務経験などが、募集職種に適しているかどうか確認しましょう。
派遣先企業は、面談をするにあたり、派遣元企業から派遣社員のスキルシートを共有されます。シートに書かれた保有スキルや資格、経歴などの内容を中心に質問していくとよいでしょう。
面談担当者からの質問を終えたら、次は派遣社員からの逆質問を受け付けます。面談担当者の方から「何か確認しておきたいことはありますか?」と質問を促し、聞かれた内容に答えましょう。
職場見学を行なう
面談が終わったら、職場見学を行なうパターンが多くあります。派遣社員に職場の雰囲気を知ってもらうため、実際に就業する部署や現場に案内しましょう。
面談時間の目安は20分前後、職場見学の目安は30分前後です。スムーズに候補者を案内できるよう、現場の既存社員にも職場見学のスケジュールを共有しておくとよいでしょう。
派遣社員の面談に使える質問例
派遣面談の一般的な流れがわかったところで、面談に使える質問例を紹介します。「面談で何を聞けばよいのかわからない…」とお困りの方は、以下の質問例をぜひ参考にしてください。
業務経験・職歴に関する質問例
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保有スキル・資格に関する質問例
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就業条件に関する質問例
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なお、こちらの記事では、より多くの質問例を紹介しています。派遣面談の質問にお悩みの方は、以下の記事もぜひチェックしてください。
▼【企業向け】派遣社員の面談で使える質問集|NG質問や面談のコツも解説
派遣社員からよくある逆質問例
派遣面談の最後に、派遣社員から派遣先企業への逆質問を受け付けます。その際、派遣社員からよく聞かれる質問例を紹介します。
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よくある逆質問に対する回答を、あらかじめいくつか用意しておき、的確に答えられるよう準備しておきましょう。
派遣社員との面談で聞いてはいけないNG質問
最後に、派遣社員との面談で聞いてはいけないNG質問を紹介します。
本人に責任のない事項
面談の際に、出身地や家庭環境に関することなど「本人に責任のない事項」を聞いてはいけません。厚生労働省では「本人に責任のない事項」を以下のように定めています。
本人に責任のない事項に該当する項目
・本籍・出生地に関すること (注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します)
・家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)
・生活環境・家庭環境などに関すること
「本人に責任のない事項」にあたる質問には、以下のようなものが該当します。面談の時に誤って質問しないよう気を付けましょう。
本人に責任のない事項にあたるNG質問 |
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本来自由であるべき事項
信仰している宗教や思想、信条などの「本来自由であるべき事項」を聞くことも禁止されています。能力やスキルではなく、思想などの本来自由であるべき事柄によって、求職者が不適切な評価を受けないようにするためです。
本来自由であるべき事項に該当する項目
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条などに関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
「本来自由であるべき事項」にあたる質問には、以下のようなものが該当します。面談でうっかり聞いてしまうことがないよう注意しましょう。
本来自由であるべき事項にあたるNG質問例 |
出典:厚生労働省大阪労働局「就職差別につながる恐れのある不適切な質問の例」 |
男女雇用機会均等法に抵触する質問
男女雇用機会均等法に抵触する質問も禁止されています。性別を理由として、求職者を不当に評価することがないようにするためです。
男女雇用機会均等法に抵触するNG質問例 |
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業務に関係のない個人情報
派遣面談は、あくまでも業務に関することを確認する場です。業務に直接関係のないプライベートな内容や、人種・年齢・居住地・病歴などを質問するのは避けましょう。業務に関係のない個人情報には、以下のような質問が該当します。
業務に関係のない個人情報に該当するNG質問例 |
出典:厚生労働省「R03.02 公正採用選考啓発リーフレット」 |
まとめ
派遣社員を受け入れる際に面接を行なってはいけない理由、面談(顔合わせ)の手順、面談で使える質問集などについて解説しました。派遣社員への面談を行なうときは、NG質問をしないよう注意し、候補者の業務経験や保有スキルについて重点的に確認しましょう。
リラックスした雰囲気をつくって面談を行ない、企業と派遣社員がお互いへの理解を深められれば、スムーズに就業してもらうことが可能となるでしょう。
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